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▼医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か:詳細

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹(著)

▼クチコミ情報

・「現役勤務医の立場からのレビュー
都会の大学病院に勤務している現役勤務医としては、現状はさらに悲惨です。知人の同業の一地方で開業している医師に聞いても、その地方大学の医局も同様で、医局崩壊がすすんでいます。医局崩壊がすすめばよいのかというと、そう簡単ではありません。何のシステムも存在しない、無策な状態です。この本には書いていませんが、民間医局と称する、勤務医を食い物にする新手のベンチャー企業の出現、使えない電子カルテの問題、急速に進歩して高額になる最先端医療機器、またその医療機器を販売する企業にもてあそばれる医師たちの問題、地方自治体の赤字のため過疎地の地域医療に熱心な医師が現場を去っていく現実など・・・・。この本に語られていない問題はまだまだあります。現場の医師としては、すでに医療崩壊はある程度進んでいるとみて間違いないでしょう。しかし現政権の教育、財政、年金の問題重視の内閣布陣の人事の中、医療崩壊を食い止めることができるのでしょうか?われわれとしては一日も早く、この崩壊スパイラスからの脱却に光をあててくれることを祈っています。もはやわれわれ医師だけで解決できる問題ではありません。

・「2回読みました。
我々医療従事者にとって、医療現場、医療の内部では常識的なことと思われることも医療の外から見るとそうではなくなるという事はかねてから実感しており、著者の言う「医者と患者の齟齬」は年々深まるばかりである。

そこにはマスコミや司法(公権力)による意図が多分に作用しているが、これらの意図に対して医師、医療従事者は反駁の機会を得ず、また反論する努力もしてこなかった。本書にもある通り「お坊ちゃま育ち」のドクターがひとたび、彼らの攻撃を受けると「立ち去って」しまうことでその軋轢を回避、昇華しているのが、現状である。

著書の内容そのものは、臨床医にとって目新しいことは無いが、これらを敢えて「活字」にし、世に問うた事は、画期的であり、多くの医療従事者の支持を得ている理由であろう。

どなたかがこのレビューで「引きこもり型」とも表現していたが、とかく医師は病気と闘う勇気を持っていても、人や社会との争いからはできるだけ遠ざかろうとする傾向がある。観覧席から「いいぞ、いいぞ」と言っている自分が次はリングに上がる存在であることを覚悟しているかどうか、甚だ疑問である。しかし、患者に害悪をもたらそうという医師はほぼ皆無である。ましてや日本の医療がもたらしている成果や実績も世界のトップレベルである。にもかかわらず、医療に対する満足度は低く、医療を守ろうとする社会感覚よりも、医療を非難しようという勢力が幅を効かせている日本社会の病巣はまだ深いような気がしてならない。

著者には、この領域のさらなる追究と社会的提言の継続を期待しています。

・「「医療崩壊」を読んで
慈恵医大青戸病院事件をきっかけにして、日本の医療の崩壊を危惧した著者は、病院という医療の現場から、日本の医療の問題点を考えた。視点を、医療界のみならず、マスメディアや司法の立場に移し、医療界やその周辺の重層的な構造を浮き彫りにしている。無理な安全要求などで、医師はリスクの高い病院診療から離れ始めた(立ち去り型サボタージュ)。こうした背景を、著者は、立ち入って考察し、その対策を緊急に提案している。日本の医療の現状と問題点が明確になる好個の書物。

・「自らのアイデンティティを賭した、小松氏覚悟の書!
まずは、この書が、かの朝日新聞社から出版されたことを高く評価したい。ジャーナリストにとり大変耳の痛い話が書かれているが、これを真っ向から取り扱ったということは、日頃、新聞記者が自らの立ち居振る舞いに感じている疑問を、真摯に捉えようとする気運が生まれつつあることを示しているのではなかろうか。ジャーナリズムの今後に期待したい。

話は変わるが、このところ、医師自らが、身分を明かし、そのアイデンティティを賭して真実を吐露する類のものが見受けられるようになってきた。

この書のうちにもあるように、医師は元来奥ゆかしいインテリで、「攻撃」に対して反駁せず、ただ”立ち去る”という消極的抵抗を試みることが多いようである。そのような状況で、本書著者・小松氏の英断に喝采を送りたい。

私は、この良著を読み込むうちに、分野・スタンスは違うが、その「覚悟」という点において、同じく良著として評価を確立している『精神科医になる』の熊木徹夫氏を思い浮かべずにはおれなかった。

・「目を覚ますべき、医療に関わるすべての人が
 医療界では裁判を避けたくて、裁判所が医療の現実を知ることなく正統な判断を下すとは思えなくて、医者を辞めていく人が増えている。現実の問題として、必死に寝る間を惜しんで治療しても、人は必ず死を迎える。それは人類が始まってからの真理。しかし今の日本は医療を受けた以上、死はないと考える勘違い人間がいかに多いことか。その人たちは医療を威嚇し、萎縮させ、全てを悪い方向に持っていく。それを助長させるのがマスコミと、マスコミに弱い司法である。 論点はおそらくここであろう。一般の患者となる人にとっては、最初は「なんだこの本」と思うかもしれない。しかし今の日本で重症病棟で働く人間は精神的に疲れ果てている。それを素直に描いている、現場からの心の悲鳴に近い本である。ぜひ一読されたい。そして命には限りがあることを自覚して病院というものを見つめなおしていただきたい。

・「警察、検察、裁判官、マスコミに医学という科学が破壊されてしまう!
 40歳代の整形外科の医師です。現在の法律や最近の判例に厳格に従うなら、恐らくすべての医者は業務上過失致死や過失傷害で書類送検か逮捕されなければなりません。医者というものは過去の治療を振り返ると、もっとよい治療方法や手術方法があったと反省することが必ず何度もあるものです。そんなことは普通の医者ならみんな経験しているし、またすべての医者はそれを完全に回避する方法があるとも思っていません。学会の治療ガイドラインや一部の文献通りにやれば、必ず良い治療結果が出ると考えているようなお気楽な医者は一人もいません。それほど医学とは不確実な学問(確率的に結果を予測する学問とも言える)であり、また同時に医療とは危険や失敗と常に隣り合わせの行為でもあるです。  ですがそんな医者なら誰でも知っているあたりまえの医学常識が警察、検察、裁判官、マスコミの人たちは知らないし、また理解しようともしません。治療成績が結果的に悪ければ、また少しでも良い治療方法を選択できる可能性があったと判断されれば、法律的には過失と認定されます。もちろん明らかな医学的過失に対しては法的な制裁が必要となのは当然ですが、その判断にはある程度高度な医学的知識と正確な状況把握が必要となります。しかし現在の司法制度にそれを要求するのは無理である理由が、この本を読めば容易に理解できるはずです。  感情的なマスコミ報道や、医学は不確実であるという事実を無視した法律理論や、科学的合理的思考能力のない検察や裁判官が現在の日本の医療を破壊しつつある過程が、著者の鋭い洞察力により非常に正確にこの本には記載されております。  同時に各種医療問題を広範囲に問題提起しすぎたために、現状分析や解決方法が少し抽象的になっている部分もあるように思います。

・「マスコミ、医療行政関係者の方に☆
医療従事者の、現場からの痛切な声。

著者の主張は、主に医療に対する認識を世間の人に改めてもらいたいということです。単に待遇改善をしろと言っているのではもちろんありません。現在の医療制度と医療に対する認識が続けば、医師の志向は楽な診療科や開業に向かい医療の水準を保てないと言っています。求められるのは、医療制度の改革と医療に対する認識を改めること。

本書には現状の分析、課題の提起、そして解決法まで書かれてありひとつの論文のようです。 それゆえに一般の読者には少しよみにくい部分もあると思います。 広く読まれてほしいから、そこが惜しい、、、

ぜひマスコミ関係者にこれを読んで著者の主張を一般の人に届けてほしい。ぜひ医療行政関係者にこれを読んで医療の改革に活かしてほしい。そう思いました。

・「議論すべき時がきた。
著者は勤務医なので、勤務医の立場で納得できるよ立論をわかりやすく展開している。著者に反論しようとする人々は最低でも同一の論理性を保つことを要求されるという「たたき台」を感情に流されず、論理的に組み立てた功績は大きい。

病院の過酷な臨床現場で「自らの待遇や職場の環境を改善するため」には立ち上がらず、「立ち去り型サボタージュ」という消極的な抵抗を始めた勤務医にこそ、著者は留まって議論しようと呼びかけていると思う。

幸い、著者と同様の意思を持っている医師は決して少なくないと思われる。

・「絶対買いです。
医療はあらゆる人に関わる重大な問題。最近の病院の閉鎖・縮小、開業ブームの背景が、これを読むと良く分かる。これらの医師のモラルだけでは済まされない問題があるだけに、どのような仕組みが良いのか、個々人が考える必要があると思う。底の浅いマスコミ、世論(主にマスコミ)に流される司法に引っ張られず、自分の頭で医療問題を考える。そのきっかけになる良書だと思います。

・「患者が読まねばならぬのは、名医ランキングではなくこちらだ!
 当事者的立場の者の書く文章は、どうしても自分たちの立場を庇護するものになりがちだが、本書は客観的に、このままだと手術のような成功と危険が隣り合わせの医療行為を行なう事は、医師が訴訟の被告になる可能性が高まる事とイコールであり、それを避けて勤務医が通院外来のみ診療する開業医となる例が増え、それが益々医療従事者の人手不足を進ませ、基礎研究による業績偏重主義による臨床技術の低下もあいまって、早晩イギリスのように年度末になると予算不足で休院したり、エコー検査を2年も待たせるようになるか、米のように医療をも市場原理にゆだねて金持ちだけが医療を受けられるようになるのではないかと危惧し、全ての人が安価で安心して受診できるようなシステム作りを政治・厚生省・裁判・医局・報道機関・国民それぞれに対し具体的に提案をしている。 特に医療事故が発生した場合の解決法として、スウェーデンの無過失補償制度を、それ以前の防止策として手前味噌ではあるが自身の勤務する病院の入院診療指針を紹介し、前者が機能する土台として、死生観を主とする社会思想の熟成を、国民とそれをリードする報道機関に求めている。 小児科を新卒医が選ばなくなっているとの程度は知っていたが、患者として期待される結果とならなかった医療に対し、損害賠償請求することが合成の誤謬となって、自らが望む医療を現体制で受けられなくなる形で戻ってきつつある現在、断片的な知識だけでなく、本書で全体的に医療問題を考え、国民皆健康保険制度をどう効果的に存続させるかを、早急に考えねばならぬ時期に来ているのだ。

 追記  エイズ問題の箇所で、厚生官僚を擁護しているが、当時ああするしか仕方なかったとしても、管直人厚生大臣が資料提出を求めるまで隠し続けた事は許されるべきでなく、この点は不満であった。

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
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