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▼13階段 (講談社文庫):詳細

13階段 (講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)
高野 和明(著)

▼クチコミ情報

・「理想から乖離した現実に打ちのめされることになる
 たいへん面白かったです。 死刑囚が思い出した「記憶の断片」「階段の記憶」を無罪の証拠とするために、弁護士が取り次いだ篤志家の意向を受けて刑務官の南郷と仮釈放中の青年純一が調査をはじめます。 すると、その事件にはやはり、別の犯人がいる可能性がでてきて…。 死刑囚が判決を受けるにいたった事件のほか、刑務官南郷の今までの職務内容や純一の起こした事件など、たくさんの事柄が語られていてとても興味深い筋立てになっています。 そのうえ、それらが後に伏線だったことに気がつかされ、何度も驚かされます。 とても重いテーマを扱っているのに文が巧みでスラスラと先に読んでいけます。 登場人物が魅力的で、感情移入がしやすくその心理描写が丁寧に描かれているうえ、推理小説としての謎解きも申し分なく描かれています。 一気に読めて、とても読み応えのある小説。 私が今年読んだ小説のなかで一番に面白かった本です。

・「「死刑」についていろいろ考えさせられた作品
死刑囚の冤罪を晴らすため、刑務官の南郷と前科を持つ三上が調査に乗り出す。

物語が進み、徐々に真実が明らかになる中で、登場人物のほとんどが真犯人に思えてくるほど、多くの伏線が張ってある。物語の後半から一気にストーリーが進み、真犯人は非常に意外な人物であった。作中、死刑制度の詳しい解説・死刑執行の方法が書かれており、読み手の知的好奇心を満足させてくれる。死刑執行の描写は非常に生々しく、サスペンスとしてもお勧め。罪を犯した人間を国によって殺す「死刑制度」の必要性についてや、国が発出する命令書のため現場で実際に死刑を執行せねばならない刑務官の苦悩など、普段あまり意識していなかった死刑について深く考えさせられた。

・「罪を背負って生きること、罪を背負って死ぬこと
死刑。死刑制度は今、その有無が問題になっています。私はこの本を読むまで、罪を背負って死ぬ「死刑」について深く考えたことはありませんでした。正直、死刑制度についてどんなことが行われているのか…わかったのですが、あまりに衝撃的でした。読んでいただくとわかるのですが、死刑を執行するという仕事に関しては、まして考えたことなどありませんでした。「だれかがやらなくてはいけない。」そんな言葉が強く印象に残っています。死刑が良いか悪いのかは、はっきりとは言い切れませんが、罪や死と向き合う登場人物達は人間味がありました。だからこそ、深く考えさせられました。

内容としては、読み始めると続きが知りたくなるようなミステリーです。私は、夜読み始めて、止められなくて読み終わるころには朝方になっていました…

・「驚いたぁ
私の大好きな宮部さんが絶賛してるというオビに惹かれて購入。正直、最初の数十ページは、とくになんとも思わず、内心「失敗したかな」って思いました。ところが読み進めていくうちにハラハラと涙が出てきて止まらず、読み進めていくと、、、ページをめくった次の瞬間、目に入った言葉に「絶句」したのはこの本がはじめてです。思わず、「なんで」って独り言言ってました。読後感はやるせなさが残りますが、最近のイチオシとなりました。

・「やられた・・・
正確には4,5点くらいかな?ただ、素直に面白かった、というのは確か。犯罪者の社会復帰や、それにまつわる保護司という社会派のテーマでありながら、しっかりとトリックなども生きていて面白かった。乱歩賞作品はいくつか読んでいたのだが、どちらかと言うとアクションというかサスペンス的な要素が強く、ミステリとしては弱い部分が目立つ作品が多かっただけに、賞に対しても見なおした。

ただ、筋は通っているのだが多少トリックに無理があるような・・・。微妙にその辺りが気になってしまった。

・「テーマは重いがラストまでしっかり読める
初めてミステリーを読んだのがこの作品。死刑制度や冤罪など普通は避けてしまいそうな小難しい話をここまで初心者にもわかりやすく書かれていて最後まで苦にならずに読むことができました。話の序盤の純一の行動がラストで一気にわかったとき、哀しさとも寂しさともなんともいえない感情がわきあがってきて、せつなくなってしまいました。ミステリーって面白っ!って思わせてくれるには十分な作品だと思いました。

・「興奮正統派
興奮した。冤罪の可能性を秘めた死刑囚を救う為、謎の人物から依頼を受けた2人が証拠探しに奔走する。2人は合法違法に、過去「殺人」に深く関わった者たちであり、殺人について、死刑制度について、それぞれが深く苦悩しつつ、活動の中で自分なりの結論を導こうと戦い続ける。彼らが証拠探しの過程で接触する人物も様々な形で殺人や死刑に関わっており、それぞれの立場、視点で死刑の是非が問われていく。事件は果たして冤罪なのか?真犯人は他にいるのか?依頼人は誰か?相棒は信ずべき人間か?登場人物がそれぞれ影を持ち、様々な伏線が結末を決して予想させない。作者が登場人物に対してしっかりと責任を負っているのが、爽やかな読後感を呼び起こす。

・「推理小説の絶品!
時間が経つのを忘れて夢中に読んでしまった。推理小説の中に盛り込まれる「死刑制度」や「死刑囚の冤罪」といった社会性の高いテーマが、この小説に理知的な重厚さを加えている。複雑な人間関係と時間の糸が最後には一本の糸に絡んでいく。ここに推理小説の醍醐味を感じた。

あとウィットに富んだ会話は、イギリス人ぽくて、日本人がこんな会話しないよなーとぶーぶー言いつつ、日本人にこの茶目っけがあればと勉強になった。

絶賛できないところが一つあるとすれば真新しさに欠けた点。被告人が記憶を忘れてしまい、10年前の殺人事件の捜査にスポットがあてられているあたりが『レベル7』ぽさを感じ、『ショーシャンクの空に』を彷彿とさせるような獄中の描写や展開があった。そういう意味では真新しさはない。

とにかく時間を忘れて小説を楽しみたいときにはお薦めです。

・「「うまくできた」作品
周到に張り巡らされた伏線の数々、リアルに描かれた日本における死刑の現実(おもわず「グリーンマイル」や「デッドマンウォーキング」などの映画を思い出します)、そして思わず映像が眼に浮かぶ劇画的な描写によるテンポのよい展開。

読んでいるうちに思わず引き込まれます。ラストでは「えぇ、何で?」と思わず読み返してしまう、驚きの展開。非常にうまくできている作品です。

ちょっとだけ残念なのは、登場人物たちの人物像や心理の描写が共感を呼ぶレベルにまではなっておらず、あまり作品に「入り込む」ことができないこと。

そのためか、読後感は、なんとなく、「土曜ワイド劇場」を見終わったあとのような薄目の印象となってしまいました。(土ワイドは嫌いではないですけどね)

・「もっと早く読めばよかった
「13階段」。この題名がなんとなく好きになれなくて今まで読まなかったのだが、もっと早く読めばよかったと思う。まず、小説として面白かった。主人公の一人である元刑務官「南郷」を通して描かれるリアルな死刑執行の場面と優秀な刑務官であるが故の彼の苦悩。物語終盤での意外な展開。そしてラストシーン。この作品を発表する前は脚本家だった著者の文章は、読みながら頭の中にすぐ映像が浮かび視覚的で分かりやすい。ページを捲る指が止まらなかった。推理小説・エンターテインメントはこうでなくちゃ、と思う。

ただ、前科者の心理状態については、主人公の一人である三上と同じく殺人(三上は傷害致死となっているが)を犯した人物を扱った吉村昭の『仮釈放』の方が優れているような気がした(この作品は推理小説ではありませんが是非読んでみて下さい)。

死刑制度の是非、冤罪事件、刑罰は何の為にあるのか…犯罪者への報復であるとする応報刑思想と、犯罪者を教育改善して社会的脅威を取り除くという目的刑思想それぞれへの疑問。そして行刑制度のあり方。この重いテーマを多くの人に考えてもらうには、専門書的あるいは純文学?的小説ではなく、より多くの人に読まれる推理小説・エンタティンメントの形式で書かれた意義は大きいのではないかと思う。ただ、著者にその意図があったかどうかはわからないのだが…。

13階段 (講談社文庫)
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