・「記号という性質。反応という希望?」
村上春樹さんの作品にはじめて出会ったのがこの作品で一番好きです。全作品を読んでるわけではありませんが。ただ他の作品をいくつか読んでみて、どうも村上さんてひとつの大きな形の定まらないテーマをずっと追っていていろんな角度から表現しよう表現したいと試みてるような印象を受けました。
謎が多いし、全体的になにをいいたいのかよくわかりません。箇所的になんでここでこの話が?ていうのもよくありました。この作品を研究してる人っていっぱいいるんでしょうね。わたしはネット上で公開していたある分析文を読ませていただいて系統的な理解をすこし深めることができました。でもあの見方もひとつの見方でありこの作品はきっといろんな読み方・感じ方ができる可能性を含んでるんだと思います。
個人的に精神が不安定な時期に読んだせいもありますが。衣服・食事・住居に対する意識を強く感じさせられました。その物や行為を通して自分を感じること支えること表現すること。時間的な縦軸と社会的な横軸にクロスされてる意識と身体。それにまつわって良くも悪くも受け継がれていくもの。
さりげない科白にはっとさせられることが多かったです。
・「著者の長編八作目」
国境の南、太陽の西 の後の作品であり、スプートニクの恋人の前の作品にあたる。第一部のみ、雑誌で連載されたものであるが、全体の空気を通して作調の変化は感じられなかった。又、著者はこの作品により読売文学賞を受賞している
ねじまき鳥クロニクルは現在発売されているアメリカでの村上春樹ベスト、海辺のカフカを除けば、アメリカ人に”村上春樹”と言われれば浮かぶタイトルである。
ひとつに、この作品の主人公は(大局的に捉えた)アメリカ人としてのアイデンティティを体現したような存在でもありうるから、そのように彼らに印象づけたのではないだろうか。
基本的に主人公は弱さを出すことが無い。感性が鋭く、筋道を立てて考えることができ、しかし、それがあるにもかかわらず流れに身を任せる事も忘れていない。極めて実務的な人間である。
この物語は、”僕”がマルタという登場人物に言ったが如く「まるで禅のような話」に、そのような性格の主人公が人の手を、または場所の力を借りて、捉えどころの無い流れに挑んでいく話…という風に私は読んだ
日本文学は人物の深みを掘り下げていく事が少なくないが、この作品は人物ではなく、時代でもなく、人間の存在でもなく、なにようか言い表せない世界を掘り下げていく。
驚くことに、そういった物語でありながら、話の筋は霧散せず、それぞれの複線や、ストーリーの流れは、理屈や構成だけで捉えても合点のいくように編まれている。それだけでも十分に興味深く、考えさせられる。
時間のあるときに、じっくり読むと自分の世界を深く変えられたような気分になる小説である
・「複雑に交錯する村上ワールド」
岡田亨は30歳で、勤めていた法律事務所を辞め失業中。飼い猫は家出をしていて、出版社に勤めている妻のクミコは最近帰りが遅い。そんなところへ、知らない女から奇妙な電話が掛かってきて、それから僕の人生は不思議な方向へと流れ出す。
変えようのない「運命」と自己の「意思」が、場面・人物を違えて何度も錯綜し衝突する、つづれ織りのような小説です。違う場面で繰り返し出てくるキーワードがいくつもあって、一見関係ないお話たちが交錯して一つにつながっていきます。私は豊富なメタファーの向こうに、氏が「書く」という行為に至った魂の遍歴のようなものを読み取ったような気がします。実は私小説的な意味合いが強い作品なのではないかと思っています。
3部作なので読む前は長く感じますが、私はぐいぐいと小説世界に引き込まれていって読み終わるまで出てくることができませんでした。傑作です。
・「現代における夫の鏡」
大長編ですが、テーマはシンプルだと思います。「夫婦の片割れとして、自分はどうあるべきなのか」
はっきり言ってとても重たい小説。僕の場合、読み終わるころに熱を出しました。本当です。文章はとても読みやすく、文体もすばらしい。話の内容や情景はすーっと頭に入ってくる。水を飲むくらい簡単に理解できるし、イメージできます。だからこそ、苦しい。その内容や情景が、逃げ出したくなるほど重たいからです。後頭部が熱く火照ってくるほどグロテスクなシーン、戦争と暴力、理不尽。いろんな「害悪」が詰め込まれています。読者に対する拷問なのではないか、と思えるほど。村上春樹作品において、これほど苦痛に満ちた小説はまずない。
同時に、とても示唆に富んだ小説です。人に言いたくなるような名せりふが多い。箴言に満ちています。知的なかっこよさがあります。
主人公は職を失い、何もかも中途半端で、取るに足らない男です。僕みたいな男です。でも彼は奥さんを愛している。しかし妻を失いつつある。
愛だけは貫きます。完璧な愛ではありません。いくつも過ちを犯す。力も足りない。怠慢すら過去にはあった。でも終わらない愛です。どんな苦難にあっても、いや苦難にあえばこそ蘇る愛です。小説でしか表現し得ないラブストーリーだと思います。読後、なんとなく、人生が面白くなってきます。
・「根源にある暴力性」
あけすけに言えば,村上春樹の長編作品でいちばん好きなので,★5つをつけている。『ノルウェイ』でもなく,『世界の終わり』でもなく,「羊3(4)部作」でもなく。
決して本読みではないので大長編は苦手だが,この作品はあっという間に読み終えた。数ヶ月おいてまた読んだ。数年たっても読んでいた。作者の長編はすべて読んでいるが,ここまで没頭できる作品は他に見当たらない。「どうしてこんなに読ませるのか」と考えているうち,作者のある言葉に触れる機会があった。「(執筆の根源としての)性と暴力」。
この作者が性的表現にこだわってきたことは,多くの方がご存知であると思う。『ノルウェイ』が,ややもするとこの側面からのみ語られることも,この点に起因する。その次の長編であるこの作品が示したこと,それは性にこだわることはすなわち暴力にこだわること,ということである。生の衝動とまとめてしまうのは,あまりに安易な私見になるであろうか。
ともかく,不条理にして妻を奪われる夫が帯び始める暴力性に,私は(誤解を怖れずに書けば)惹き込まれた。性もそうだが,暴力もこの世界には満ち溢れている。ただ,満ち溢れているからこそ,現実を超えてそれらを表現することは難しい。更に,性が性それ自体の欲求を充たすのに比べ,暴力はそれ自体は欲求しない。そのため,性以上の表現力が求められる。
阿部和重や町田康などはともかく,暴力は安易に手を出しやすい素材であるため,小説として書き切っている作家は少ない。『ねじまき鳥』以降,やや筆力が落ちたようにも感じられる点は残念であるが,この作品だけでも作者の評価は国内外を問わず相応に高い。
・「村上ワールドへ」
この本は私が初めて読んだ村上春樹の本です。この本に出会ったのは確か小学校4年生の時。私が本好きとなるきっかけとなった本です。小学校4年生のときはよく理解できなかったけど、なぜか夢中で読んでました。今、私は大学2年生ですが、この本を何回も読み返すうちに、本の内容を素直に受け入れることができるようになってきました。
本当に大好きな本です。登場人物も魅力的な人がたくさん出てきます。不思議な空間もたくさんあります。私がこの本を読んでいちばん行ってみたいと思った場所は『井戸の底』です。そこから違う世界へいけそうな気がしませんか?
・「まさに「春樹ワールド」って感じだな」
あらかじめ断っておくと私は猛烈な村上春樹ファンという程ではなく、「海辺のカフカ」を読んだあと、その読者達とのやり取りをまとめた「少年カフカ」に目を通し、その中で「ねじまき鳥」の評判がとても高かったので今回「ねじまき鳥」を読んだという程度の俄かファンです。
「海辺のカフカ」を読んだときの最初の読後感と同じように、今回も他の小説家達の作品とは比較が難しい非常にオリジナリティのある作品、まさに「春樹ワールド」だなぁと強く感じました。
主題になっているテーマは、人の存在や意識、暴力や死と言ったとりたてて珍しいものではないのだが、作者の軽妙な筆致とテンポのよさでファンタジー?というか非常に読み物として面白い。
私は今回夏休みに離島リゾートの浜辺でゆったりと!読んだが、私のようににわかファンという方にもオススメできる作品です。
・「RPGをしているようだ」
長く,複雑な物語。しかし,筆者の他の作品とは違い「妻を取り返す」という明確な目的があるのでその分,読み進めるのが楽しい。そして,心に深く生きつづける作品である。
占い師に会ったり,バットを手にしたりRPGをしているような気持ちになる。
テーマの見解はいろいろ分かれるだろうが私はこの作品を通して「孤独との向き合い方」
のような物を学んだ気がした。
・「読ませる力。」
これだけの長大な物語を読ませきってしまう村上春樹の力はやはりたいしたものだと思う。高校時代に初めて読んだが、あまりにも先の展開が気になって、学校もズル休みして、ほとんど徹夜で2日間で読みきった。当時はあまりにも深いその小説世界に戸惑いを覚えていたが、何度か読み直してみたところ、今ではなんとなく内容がつかめてきた・・・と言いたいところだが、相変わらずその圧倒的な世界観に今でも戸惑っている。すごいなとは思うが、面白いなというところにはたどり着けない。おそらく理解するのにまだまだ時間がかかるだろう。ただはっきりと言えることは、笠原メイは魅力的な女の子だ。
・「すまない・・・・・・。」
私が馬鹿なのか?それともこの作品が難解すぎるのか?言いたい事は何と無くわかるのだけれど、抽象的過ぎてついていけない……。そうかこれが純文学か!
一応三巻全部読破するつもりだが、起承転結がなくて挫けそうになった。なんというかけれんみがないから余計に辛い。森博嗣を初めて読んだときと同じ置いてけぼり感を食らってしまった。
主人公がこの手のにありがちな透明さがあったという以外は……一巻は特に面白みがなかった。ここまで読み手を試す本は初めてだ。
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