・「これ一冊で人生変わります。」
司馬遼太郎の作品を読んだ中で、この作品は現時点で一番自分の考えに影響を及ぼしたものです。越後長岡七万四千石という小藩の家老河井継之助が官軍にも幕府にも属さず独立の姿勢で戊辰戦争を戦うという内容である。継之助の「行動を伴わない知識は必要がない」という言葉は非常に面白い。現在あふれかえっている情報に翻弄されている私共はなんなのか、と思わざるを得ない。自分が何をしたいのかを明確にしない限り、全ての知識は無になってしまう。そんな思いをさせられた一冊であった。男性は必読。
・「「志」ある人生が放つ美」
「河合継之助のような人間を持ったことははたして藩にとって幸か不幸か・・・」作中、登場人物達により幾度か繰り返される問いである。継之助はその卓越した頭脳と行動力により日本随一の砲兵団を作り上げ、それにより長岡藩という小藩をして一個の独立国にすることを夢見た。しかし結果として、継之助ひきいる長岡藩は維新史上最も激烈な戦いとなる北越戦争へと突入してゆくことになる。
司馬さんは短編『英雄児』において、継之助の英雄ぶりとともに、このような英雄を持った小藩の不幸を描いた。そして3年後、同じ河合継之助を主人公にし、全く別の視点、「武士」というものに焦点をあてた長編を発表した。それがこの『峠』である。継之助は福沢諭吉に劣らない開明論者で封建制の崩壊を誰よりも見通していながら、諭吉とはまったく違う道を選ぶ(この2人の掛け合いは私の最も好きなシーンである)。自分自身の原理原則――「志」に従った結果である。日本の文明化が諭吉の志なら、継之助の志は「長岡藩士として藩をいかによくしてゆくか」ということだった。司馬さんはあとがきでいう。「幕末期に完成した武士という人間像は、日本人がうみだした、多少奇形であるにしてもその結晶のみごとさにおいて人間の芸術品とまでいえるように思える」
この究極的な武士の美を描いた『峠』に、私は司馬作品の典型を感じる。その人間の行いが歴史的にどういう意味を持ったか、未来にどのように貢献したかは、決して司馬作品の主題ではない。司馬さんが描くもの、それは人生の美である。ただ生き伸びるだけの人生ではなく、「志」ある人生が放つ美である。継之助が極端なほどに貫いたものである。
・「河井継之助にアッパレ」
とにかく、★★★★★!!文句なしです。絶対おススメ♡
他の登場人物も魅力あるけれど、それよりも何よりも「河井継之助」にあっぱれ!です。「爽快」という言葉が一番当てはまるか・・・読み進むにつれて、だんだん面白くなっていきます。
ある著名な人が「河井には長岡藩は小さいかもしれない」と言っていましたが、私も、その気になれば一国の首相を努められる人物だと思いました。
歴史に「もし・・・」はありませんが、河井継之助が長岡藩士でなければ・・・とか、色々な妄想がよぎっていきました。個人的には、西郷隆盛や大久保利通、勝海舟と同じレベル、もしくはそれ以上の人物だと思います。
あんまり書いていると、内容を全部書いてしまいそうなので、ここらへんで失礼します。でも、「傑作」間違いなし!です。ぜひお勧めしたい本です。
・「地方から時代の流れを感じることができる作品。」
1966年から連載が始まった、河井継之助を主人公にした作品です。「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」などが単行本で出版され、その後書き忘れられたように連載が始まったような感じです。土佐の竜馬、薩摩の西郷など薩長土肥の志士が活躍する中で、越後長岡藩で、藩を守るために運命を賭けた河井継之助の生き様は、尊皇攘夷などの思想が飛び交う幕末風雲の時代にあっては、異様な存在です。地方から幕末の混乱を見ながら、時代の流れを感じることができる作品です。
・「今の時代にも欲しい人」
河井継之助、魅力的な人だ。上巻では継之助が江戸や備中松山、長崎、横浜などに出かけてゆく姿が淡々と描かれている。びっくりするほど自分の考えをしっかりと持っている人で、やる事に勢いがあって読んでいても気持ちがいい。ただ300年間の天下泰平な暮らしが根付いていたあの頃に彼のような行動はおかしなものに映ったようだ。上巻の最後にようやく彼の行動や考えが少し受け入れられる様子を見せていくのだが・・・。彼のあの性格や行動力は持って生まれたものだろう。ましてあの時代継之助のように長男で黙っていれば食べるに困らないほどの収入が約束されている場合、このままでいいと思ってもおかしくない。なのに人に会うため雪の中を出かけてゆく、京や長崎にまで行ってしまう。そして結局は周りの人に河井継之助と言う人を認めさせる結果になるのは、彼の内側から出るものがそうさせたに違いない。その上で河井家の人々のそんな放蕩を許す懐の深さが、プラスされていく。そしてあくまで長岡藩のため、と言うスタンスがいっそう彼の魅力をひきたてる。わたしの継之助についての知識は白紙。中下巻でどのような展開になるのか楽しみだ。
・「坂本竜馬と対比すると面白い」
先見性、判断力、実行力、そして人間力。そのどれをとっても超一流の英雄がいたとする。誰よりも将来を見通す力に長け、誰にも描けないような理想を持ち、誰をも遠慮なく引きずって行くほどの政治力を持った英雄がいたとする。現代の日本にそんな人物がいたらどれだけの活躍が出来るだろう。経済や外交の問題が山積みの昨今、日本の大きな力を最大限に活かし、また自らの力も大いに発揮できるだろう。
・「私のバイブル。」
まずは私にとってバイブルとも言えるこの作品から書こうと思いました。
私は司馬遼大好き人間で、この方の作品のほとんどを、しかも2,3回は読み返していますが、中でもこの作品は10回は読んだと思います。自分の生き方に迷うとき、自分の中の弱さと向き合うとき・・・そんなときに読むといつも何らかの答えをくれるような、私にとってはそんな作品です。
・「一度は読むべきと言い切れるほど良い。」
河合継之助。
新撰組や明治政府を作った側の人間、または会津藩や五稜郭で奮戦した榎本武明といった、日本史の教科書には必ず出てくるような有名な人たちとは違い越後藩という小藩の人である。
日本史を勉強したことがあるのに恥ずかしいことながら、河合継之助という名前は聞いたことがなかった。それも全く。
上巻ではその河合継之助が諸藩を回り、多くの人と会い、歴史の分かれ目の中で自分の藩の行く末を考える部分が描かれています。ただまだ歴史的転換期は来ておらず、どちらかというと河合継之助の風変わりな性格を旅の中で描き出している、軽妙な印象を受けました。
これは一つの読み物としても面白いし、ある意味ではビジネス書の性格も持っていると思います。時流の流れを肌で感じ、それに対しどう向かっていくか・・・一読の価値あり、です。
・「人の価値は、志の高低で決まる」
河合継之助。志の高低が人の価値を決める。彼は、そういった。
幕府が勝っても薩長が勝っても武士の時代は終わる。そう言い切る先見性も彼はもっていた。もし、彼が浪人となっていたなら、もう一人の坂本龍馬が生まれたかもしれない。
しかし、不幸にも長岡藩の藩主は英明であった。侍としては身分が低く若い河合継之助を家老として抜擢する。そこから彼の苦闘が始まる。
長岡藩という小さな器に入りながらも、輝きを発し始める。敗者である幕府側にもこれだけの人物がいたことに驚かされる。
・「方谷との出会い」
若くして陽明学を師事し、その理念を持って自らを研鑽していく過程(雌伏)そしてそれが昇華されて悲劇といえる北越戦争に至る悲しさを感じさせる巻である。この本を幾度となく読み返したが若い頃はエンターテイメント性溢れ、戦争突入前の風雲の時勢の緊迫感溢れる下巻に心動かされたものだが、幾度と読み返すと方谷との出会いまたそこで学ぶこと。このあたりのなんともいえない河井の生き様がたまらないと思える。知行合一の知の部分の研鑽であり、その集大成としての行動の前段なのである。後半の行動に向かう前の河井の心の声が聞こえてきそうである。心中、心のつぶやきが多い男である。という言葉が文中出てくるが己の心の中を鏡のように磨き上げるという作業に費やされたこの期間が愛しく思える。後半に向かい滅びを迎えるべくして迎えるという美学をこのように計らずとも作り上げ、また時勢に巻き込まざるを得ないという運命によって悲壮という世界に突入していく愛すべき河井の姿がよく見える巻である。
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