・「既存の新古典派経済学への挑戦状」
この本は,複雑系経済学の入門書である。複雑系経済学は,従来の新古典派経済学(いわゆるミクロ経済学)の想定した,人間の完全合理主義,収穫逓減,均衡理論という実際の経済活動では見られにくい,理論のための理論を喝破し,より現実の経済に近い経済理論を打ち立てようとするものである。従来のミクロ経済学での企業の価格付けに関する記述は,主に服の仕立屋や農家などで説明されることが多かった。よって説明を読んでいる限りは正しいように思ってしまう。しかし,それを企業にまで拡張すると,本書のような指摘が当てはまるのである。この挑戦を受けて,既存の経済学がより現実に近くなることを願いたい。ちなみに,価格理論という意味においては,経済学はもはや死んでいると思われる。一部の経済学者は,他にモデルを作って,現実を説明する工夫をしている。体系付けはされていないものの,現実により近い理論を使う彼らに期待したいと思う。本書は経済学の説明にはいるまでに,数学や複雑系の起源などの説明があり,しっかりした丁寧さを持っており,非常に好感が持てる。だが,あくまで新古典派の批判レベルにとどまっているので,今後,新しい理論を打ち立て,新しいミクロ経済学を作れるかが,ブームで終わるかどうかの分水嶺となるだろう。
・「塩沢経済学への最良の入門書!」
従来の経済学研究は要素還元主義的な分析手法に強く依拠してきた。これは物理学における概念を経済学にそのまま導入したことの論理的帰結であって、そこから経済学は厳格で壮大な理論体系(一般均衡理論)を構築し、それが正しい市場の理論であると思い込んできたのである。しかしその理論の中核には人間の合理性が無限大であるという想定がなされていたのだ。人間の認識、計算、推論能力に重大な限界が課されるならば、需要関数をそもそも構成することはできないのである(供給関数の場合は「収穫逓減の仮定」)。われわれはこうした主流派経済学に代わるべく新たな市場の理論を作り直さなればならない。私は本書の基本的なメッセージはここにあると理解する。計画経済の失敗を理論的に総括する作業は、その実現可能性を強く支え続けてきた主流派経済学の見直しをも迫るという著者の主張は明確である(2章、3章)。例えば30年代の今では古典的ともいえる「社会主義計算論争」や60年代の「ソ連数理派経済学論争」など、その今日的意義を十分に汲み尽くされていない研究主題も存在するが、重要なことは、そうした「開かれた討論」を今後も積極的に継続させ、その中から新たな経済理論や経済思想を主体的に生み出してゆくことであろう。かつては計算論争で「敗北」と断定されたオーストリア学派は社会主義批判をその後も精力的に展開しつつ、「均衡分析」にかわる「過程分析」の理論化を推し進めることで、市場認識を内在的に深化させることに大きな貢献を果たしたことが想起されよう。いずれにせよ、本書はそうした挑戦精神を簡明な文章で綴った優れた研究書である。本書以前に刊行された『市場の秩序学』や『複雑さの帰結』などを併読することで、塩沢経済学をよりよく理解できるのではないか。是非、多くの読者に本書の醍醐味を味わって頂きたい。
・「学説史としても最良の書」
複雑系経済学とは何かを知りたいときに、まずはじめに当たるべき最良の書です。経済学史が極めて分かりやすく纏められていて、しかも経済理論の背後にどのようなエピステーメーがあるのか、どのようなパラダイムであったのか、といった従来あまり意識されたことのない視点があって、とても面白いです。「入門書」の類のもので、これほど充実した本も珍しいのでは?
・「これまでの経済学理論を塗り替える」
これまでの経済学の理論が現実を反映できていないことを指摘し、新たな複雑系経済学を提唱。その理論の入門書。字も大きめで、素人にも読みやすいつくりになっている。
大まかに言って、本書で挙げられている理論の軸は以下のようなものでしょう。
・限定合理性これまでの経済理論では、人はすべての情報を有し、また利益の最大化の方法を一瞬で計算できるとしていた。しかし、これは現実に反している。実際には、情報は非対称であるし、またスパコンを用いても宇宙が生まれてから今までかかってもできないくらいの膨大な量の計算が必要である。
・収穫逓増これまでの経済理論では、資金をたくさん投下したとしても、投入すればするほど得られる利益は投入資金にたいして減少するという収穫逓減をとっていた。しかし、現実には、ものをたくさんつくれば作るほど単価は下がる(投入資金にたいして利益は増加する)という収益逓増が起きている
・経路依存人は過去の経験から学び、それにもとづいて現在の行動を起こしていく。そのため、たとえ合理的であったとしても、これまでの行動と異なる行動をとることについては躊躇する。
以下、新書で書かれた、新しい経済学の本を紹介しておきます
友野 典男「行動経済学 経済は「感情」で動いている」 薮下 史郎「非対称情報の経済学」佐和 隆光「経済学とは何だろうか」
ケータイからは、シンプル・アマゾン通販(モバイル版)をご覧下さい。
シンプル・アマゾン通販は、安心・安全のネットショッピングAmazon.co.jpの商品を紹介しています。
簡単アフィリエイト:あなたのAmazonアソシエイトIDをアドレスの最後に付けるだけで簡単キャッシュバック!(例:2sas.net/?yourid-22)一度IDを付ければ、シンプル・アマゾン通販内の全商品が紹介料の対象になります。アソシエイトIDはこちらから登録可。