●イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
・「GREATになれないGOODな人たちへの人生指南としてもお奨め」
「またビジネス書か。もうビジネス書はたくさんだ」と思う人も多いことだろう(ぼくがそうだ)が、この本は違う。著者はGREATを「株式運用成績が15年にわたって市場並み以下の状態が続き、"転換点"の後は一変して15年にわたって市場平均の三倍以上になった企業」として定義し、この基準をもとに1965-1995の30年間にフォーチュン誌のアメリカ大企業500社のリストに登場した企業を対象として組織的な調査と選別を行って残った11社を、対照的にGOODのままGREATになれなかった企業11社、いったんGREATになったがそれを15年持続できなかった企業6社と比較して分析している。
厳密なふるいをかけて残った11社のGREATな企業は、著者のコリンズと調査チームが驚いたほど「地味で野暮ったい」企業の一覧となった。だが、それらの企業を調査して導かれた結論は、示唆に富む内容でありながらシンプルで分かりやすい。何より興味深いのは「GOODからいかにしてGREATに脱皮するか」という考察が、企業だけでなく個人の人生にもみごとに適用されそうな点である(このため訳書のタイトルには不満が残る。原題は"GOOD TO GREAT")。
「GOODはGREATの敵である」と喝破する著者、ジム・コリンズは「一億ドルもらってもこの本の出版を差し止める気にはならない」と断言するほどの自信をもってこの論考を世に問うている。ビジネス書としてだけでなく、「学生の頃は優秀でいろいろ夢や野心があったのに社会に出ると月並みな成果しかだせなくなってしまった」ことに悩んでいる、GREATになりたいGOODな人たちに人生指南書としてお奨めしたい一冊だと思う。
・「飛躍のために経営者・起業家は必読では?」
前作ではソニーをはじめとする偉大な企業の分析を実施したが、今回は優良な企業が偉大へと変革するにいたったことの分析をしようという試みをまとめたものです。だからといって調査(5年にわたる!)を前回の継続として捕らえておらず、また内容も前回の継続というよりは同列の資料ができあがって、再度同じ視点でどうなのかが議論できる形になっています。
基本的には以下の循環により、ゆっくりと進化したというのが解になります。ハリネズミの概念と3つの基本原則(情熱、世界一、経済原動力)のみを忠実に実行することにあります。そして行動を起こす人柄としては「ストックデールの逆説」と定義していますが、「必ず勝てるという確信を失ってはならない。ただし厳しく現実を直視する」タイプの人ということです。
世の中には当たり前と思えることが、実は明文化されていなかったり、証明できていなかったりすることが多くて、ことを深めると、「どうしてそれが成立するのか?」という疑問にぶち当たることもしばしばだと思います。本書で示されているデータも内容ももしかすると、当然と思えることかもしれませんが、それでもここまでデータに忠実に具体的にまとめられた形はほとんど世の中には存在しないと思われます。
ただ本書は優良な企業が偉大な企業へ成長したデータの整理であり、本書をまねて人・企業が、本書通りにいくという保証はありません。だからといって無視できない事実も多く書かれていて、経営者や起業家は必読の書では?と思われます。
・「前作(ビジョナリー・カンパニー)よりお薦め」
いわゆる並み(Good)の会社が、いかに偉大(Great)な企業となりえたかという点で、成功したアメリカ企業の事例研究ではあるものの今日業績低迷にあえいでいる日本企業にとっても実に示唆に富んだ内容である。前作(ビジョナリー・カンパニー)は偉大な創業者が、不変の基本理念のもと、偉大な企業を築き上げたという、応用を図るには少し遠い存在であったように感じる。また筆者自身、前作では不明瞭であった点が、今回の調査によって明確になったと認めている。
偉大な企業が例外なく、自社が世界一になれるもの、経済的原動力になるもの、情熱をもって取り組めるもの、という条件にあてはまる事業を取捨選択したこと。トップのカリスマ的指導力によってビジョンや戦略構築を図るのではなく、まず最初に適切な人を選び、その後に目標を構築したこと。自社が置かれた厳しい現実を直視し、十分に意見に耳を傾ける社風を作り出したことなど、自らの企業に照らしあわせても、示唆にあふれている内容である。各章にポイントをまとめているのも使い勝手がよくバイブルとしておいておきたい一書である。
・「真の企業家に向けて必読の「理論」」
前著『ビジョナリー・カンパニー』よりおよそ6年の年月を経て出版された本書。偉大な企業が偉大さを永続する卓越した企業になることを説いた前著に対して、本書はその続編ではなく、「良い組織を偉大な実績を持続できる組織に飛躍させる(Good to Great)」ことを説いたものであり、むしろ前編に当る。前著以上に、本書はすべての企業人、企業家に対して価値ある示唆を与える卓越した一冊だと言える。
まず、こうした内容の類書・文献は多分に散見されるが、これらと本書とを明らかに異なるものにしている点は、本書が理論の域に達していると言い得ることだろう。巻末に示される膨大なデータ調査の経緯や議論・検討の経緯の記述から、仮説でも一般解でもなく理論だと言い得るのだ。即ち、本書が与える示唆は、勿論実現は容易ではないのだが、科学性・再現性を備えたものだと思われる。 次に、ただ単に「成功の方法」を説いたものではなく、その持続性に焦点を当てていることは無視できない。即ち、如何に短期的な成功、大々的なキャンペーンがあろうとも、企業組織が持続的発展を望む以上、この視点から考察された本書の示唆は非常に稀有であり、読む者を崇高な想いに至らしめる。ビジネスの競争にあって、ややもすれば独善性や視野狭窄に陥り易い企業人に対して自身を内省させる視点に溢れている。 第3に、それでいて革新的な提言が盛り込まれている。本書で提示するGood to Greatへの処方箋は、「第5水準のリーダーシップ」「最初に人を選びその後に目標を選ぶ」「厳しい現実を直視する」「針鼠の概念(BHAG)」「規律の文化」「促進剤としての技術」「弾み車と悪循環」の7つの概念から構成されている。「第5水準のリーダーシップ」はコッターなどが提示するリーダーシップモデルを超えて更に「個人としての謙虚さと職業人としての意思の強さ」を兼ね備えたリーダーの必要性を説いている。また、「最初に人を選び次に目標を選ぶ」というのは人的資源管理の原則的な考え方とは趣きが大いに異なる。加えて、「促進剤としての技術」では技術はあくまで補助に過ぎないことを再認識させ、それに振り回される企業人に警鐘を鳴らす。非常に有益で考えさせられる示唆が豊かなのだ。
本書が示すところは所謂「企業変革」とは明らかに相容れない空気がある。しかし、短期的に華々しい変革ではなくとも超長期の卓越を得たいのであれば、本書の説くポリシーがまずもって優先されるべきだろう。偉大な企業に脱皮し持続的高成長を掌中にするためには、市場環境に対応すること以上に、規律ある組織や内省できる個人など、深く・潔く自らと向き合うことが如何に重要であるかを思い知らされる。 間違いなく秀逸な良書である。
・「経営者だけでなく、凡庸な人材を抜け出したい個人にも役立つ」
本書に関するレビューを見ると、紹介するべき内容はほぼ出尽くしているようですので、違った切り口で考察いたします。
偉大な企業になる際必要なもののひとつに、「針鼠(はりねずみ)の概念(3つの円の中の単純さ)」というものがあります。3つの円とは、
1.情熱をもって取り組めるもの 2.自社が世界一になれる部分3.経済的原動力になるもの
で、この3つの円の重なる部分を深く理解し、その分野に思い切って事業を集中することが偉大な企業への道である事を示していますが、これは何も偉大な企業になるためでなく、凡庸な人材が偉大な人材へ抜け出すための法則ともいえるのではないでしょうか。 つまり、自分のしている仕事について振り返ってみるのです。
1.自分の仕事に情熱を持っており、仕事が好きでたまらず、仕事をやっていること自体が楽しい(毎朝、目覚めて仕事に行くのが楽しく、自分の仕事に誇りを持っている)。2.持って生まれた能力にぴったりの仕事であり、その能力を活かして、おそらくは世界有数の力を発揮できるようになる(自分はこの仕事をするために生まれてきたのだと思える)。3.その仕事で十分な報酬が得られる(これをやってこんなにお金が入ってくるなんて、夢のようではないかと思える)。
という三つの円の重なる部分を見つけて仕事をしていけば、凡庸な人材が偉大な人材になる可能性があるという事なのです。偉大な人はなかなか居なくとも、可能性のある人は案外身近に居るのではないでしょうか。そんな人は「針鼠(はりねずみ)の概念」で、浮気をせずに今の仕事に集中している事が肝要だということです。まだ若く、自分の3つの円を把握できないのであればまず、それを深く理解し確立する努力が必要なのでしょう。
・「飛躍するために大切なこと 」
飛躍する企業の経営者には、第五水準のリーダーシップを持っているという。
・「自分の会社を振り返れば」
きわめて明快な論文だ。(読んだ方はお分かりだと思うが、注釈の付け方など明らかに学術論文であり、参考文献一覧などで逃げている著作とは根本的に違う)同僚に進められて読み始めたが、適切な人材ありきで、それから事業を決めるといった発想など目からうろこ以外のなにものでもない。自分がかつて勤務した会社の状況を見るに付け、取り上げられた11社との違いを1ページ1ページで突きつけられた気がする。同じ思想基盤を持つ従業員がいるからこそ、自律的であって管理などする必要がない。日本の企業は生き残れるのだろうか? かえってそれが心配になるほどだった。経営幹部を目指す人、起業したい人には充分指針となりうる書だと思う。
・「1の続編。お勧めです」
1が「ビジョナリーカンパニーとは何か?」がテーマだったとするなら、2は「どのようにビジョナリーカンパニーができていくのか」がメインテーマです。確かに、1ではビジョナリーカンパニーのあるべき姿が明確に示されていましたが、そこにいたる方法論は記述されていませんでした。2では、そのビジョナリーカンパニーがどのようにして出来上がっていくのか、その過程の部分にフォーカスが当てられています。
個人的には、内容量が多すぎて読みきるのに非常に苦戦しましたが、ぜひお勧めしたい1冊です。
・「古い日本人の価値観にも合うのでは?」
前作”ビジョナリーカンパニー”もそうであるが、今作もまずその徹底した調査実績に感服する。 その結果得られた内容がなんとも至極当然であった事に驚くと同時に安心もした。 古い日本人の特質の一つである謙虚であることの本当の意味、謙虚がもたらす成果について考えさせられ昨今のグローバルスタンダードの表層しかなぞっていない、理解していない御仁や、違和感を感じている人には是非読んでもらいたい。 人生をGreatにしたい人も必見です。 良いビジネス書とは人生全てに適用できる内容を持っているはずとの私の考えと完全にマッチしている。
・「永遠不滅の法則」
今回のビジョナリーカンパニーは、普通の企業が準備段階を経て、成長段階へ飛躍することを主眼に書かれています。正直、前作は小難しい表現が多かったせいか、あまり参考とする点はなかったのですが、今回はわかり易く、かつ具体的なので非常に参考になります。前作をしのぐ作品と言えるでしょう。
さて内容の方ですが、やはり最も重要な点としては、経営者がどのレベルに達しているかということだと思います。本書では、最高のランクを第5水準の経営者と名付けていますが、このレベルになりますと、性格的には非常に謙虚で控えめなのですが、自分の仕事に関しては熱い情熱を秘めているといった感じです。(世間で騒がれているカリスマ経営者とは、正反対の位置付けになろうかと思います。)
次に重要なのが、適切な人材を集めるということです。これは能力が高い、低いという基準だけではなく、性格的にも企業理念に集えるかといった点が重要となります。謙虚な経営者の元、優秀な人材が集うといった印象でしょうか。このような規律ある人材が集まった場合、当然のことながら厳しく管理する必要などはなく、そこから自然と企業のおける目標ができ、企業文化が根付くのだと思います。(ここでいう目標とは、企業の成長やお金といったものではありません。これらはあくまで結果論だということです。)
その他、ニッチな得意分野に業務内容を絞るといった点なども参考になります。経営者にとってはまさに「座右の書」となるべき本であると思います。
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