・「映画としての「墨攻」、いいと思います。」
中国の戦国時代(紀元前5世紀〜3世紀)に活躍した儒家(創始者:孔子)とは相異なる思想を持っていた「墨家」。本映画は酒見賢一+森秀樹の原作をベースに、革離(アンディ・ラウ)という梁軍に墨家から派遣されたたった一人の墨子を中心に、趙軍と梁軍の戦いを描く。専守防衛いわゆる”守り”をその思想的結論から戦法とする墨子・革離は梁城での籠城による敵軍の撃退のために的確な手を打ち、梁城の人民、兵士らの尊敬を集めていく。しかしそれが後に梁王の嫉妬と不安を呼び起こす。再度攻めてきた趙軍を、戻ってきた革離が再び破るが、革離を慕っていた逸悦(ファン・ビンビン)は死に、梁王は革離に謀反の嫌疑をかける。荒れ果てた城から民と共に出て行く革離、彼を慕っていた梁軍の子団(ウー・チーロン)もまた去る。そして墨家は始皇帝による秦の建国以降、断絶してしまう。原作のよく思索し抜かれた人物描写、ストーリーの部分は若干薄くなってしまった感があるが、映画としての「墨攻」は限られた上映時間という制約を受けながらも、いい出来具合の作品になっていると思う。個人的にはファン・ビンビンが印象的。
・「おしい作品」
シチュエーション的には、絶体絶命の国を救うべく訪れた援軍はたったひとり!? と燃える展開なのですが、いかんせん、援軍がひとりでも誰もびっくりしないし、自慢の知略も半分くらいご都合主義的展開で、敵さんの奇襲攻撃のほうが奇をてらってたりします(苦笑)他にも、鎧のまま水に飛び込み平然と泳いだり、火の海の中主人公だけ不自然に無傷だったり、穴掘り一人で地下水を掘り当てたり(しかも素手で)と、いろいろと萎えさせてくれました。
漫画は読んだことないですが、そちらのほうがオモシロそうだなぁ。
・「墨家思想」
前半は奇想天外な作戦が見所。繰り返される知略と息詰まる攻防、そして感情の軋轢が齎す終盤の混乱など、全篇で見せ場が用意されており、平均してテンションが高く飽きさせません。敵の動きを先読みし、巧みなトラップで城内への侵入を許さぬ革離の獅子奮迅の活躍ぶりは、胸のすく爽快さ!!CGもそれほど使わないで、娯楽歴史活劇としてのスケール感と迫力をダイナミックに映像化したのは凄い。戦闘モッブシーンなど、スピーディで重量感もありテンポもいい。撮影監督は日本の阪本善尚が担当しており、リアル感満点の多彩映像を素晴らしいカメラワークで実現しています。音楽も「アヴァロン」の川井憲次が担当しており、東洋的な味わいと迫力の音楽で盛り立てています。
後半は、王や腹心と革離たちとの人間関係が悪化するドロドロ政変ドラマへと変貌します。戦略を用いながら本懐を“民を守る”ことに置く墨家としての理想を堅持しながら、戦争のあまりにむごい現実との乖離に苦しむ革離の姿を対比させる。人を殺さずに墨守することの明確な答えはなかったけれど、そうしたヒントがあったように思います。
ただ、1本の映画としてみると、エピソードを詰め込みすぎて個々のエピソードが充分に活きていないこと。ファン・ビンビン演じるヒロインの存在が明らかに浮いており、革離との不必要なラブ・シーンなどが映画の流れをいちいち止めてしまうのはマズかったかな。彼女が物語に“華”を添える役割は分かるけれど、それ故に終始全体から浮いてしまっていることがマイナスポイントではありますが、全体を通じて娯楽性に富み、そのうえ深みもある映画に仕上がっていると思います。
・「ちょっとかっこよすぎ」
紀元前2〜3世紀のころの中国の春秋戦国時代のお話。
博愛主義で知られる墨家だが、守りのためだけに武力を使う教団があり、その中の一人である革離が主人公として描かれている。
大国に飲み込まれる劣勢の弱小国にたった一人で援軍に行き、知恵と技術と武力で大国の軍団を退けるというストーリー。
マンガ版では梁城編・鼠編・邯鄲編とあるが、映画ではそのうちの梁城編のみで構成されている。
アクション映画らしく、武舞でかっこよく演じているところが見所だが、原作のような考え込まれたストーリーや人物描写が殺されているような期もする。
また、マンガ版では、不細工な小男として革離が描かれているが、映画ではアンディ・ラウが主演をしており、かなりかっこよくなっている。そのかっこよさが墨攻の世界観を壊しているとも言える。
・「巷将軍と革離の対局盤とその駒たち」
いろいろこれからの映画の可能性(制作体制も含めて)を感じさせてくれる映画だった。
中・韓の役者さん達はこういうものをやらせると男性でも女性でも体が良く動く。戦争のむごさに今も昔もないという監督の姿勢にも好感が持てる。
一番気になったのはエキストラの演技。いいところもところどころあるのだが全体的には訓練不足の感がどうしても否めない。ついついあちこちで「英雄HERO」と比べてしまう。むずかいしところかと思う。
けれども革離の不器用さも巷将軍の矜持、粱王の俗物さも彼らの演技・映像は正直に久しぶりに思い入れができるものだった。
・「平凡なストーリーだが見せる映画」
こうゆう古代戦記ものはストーリーの先が見えて面白くないという方もいるでしょう。確かに面白くないもの多いです。しかし、これは好きです。最後まで面白く見れました。平凡なストーリでも見せてしまうというのはすごいことだと思います。戦争とは?平和とは?と深刻に考えるというわけでもなく、戦って最後がハッピーエンドというハリウッド映画ほど単純でもない。 理想を求めても現実の冷徹さの前には屁のツッパリにもならない。それでも理想を追い求めてしまうところがかっこいい。男のやせ我慢は、いつの時代もかっこいいのです。でも、女性の人には支持されない分野かもしれませんね。「7人の侍」が好きな人には面白いと思います。 ただ、宣伝用の「10万人の敵にたった一人で挑む。」というコピーはいただけません。そうゆう台詞はありますが、ぜんぜん違う。かれは、領民を鼓舞して、皆で戦っている。足をひっ張る者もいるが、彼一人で戦っているわけではない。主人公の革離が聞いたらびっくりすると思いますよ。そんなの一人じゃ無理だよ、と。(笑)<追記>原作を読みましたが、主人公のキャラクターは映画のほうが好きです。女性の将軍がいたり、ロマンスがあったり、細部は全くナンセンスですが、映画ではこの町を守り抜く、この人々を守り抜くという強い意志が前面に出ている。博愛の部分が強調されています。それに比べて原作の主人公はあくまで自分の理想を追い求めています。墨家としての信条を追い求めている。町を守り、人を守るとというのは、その手段に過ぎません。革離は「高倉健」がやってもあうと思いませんか?原作のイメージは「三上博」か「本田博太郎」ですかね。原作がだめだといってるわけではありません。好みの問題かと思います。原作のほうが古代に忠実なのでしょうけれど。
・「筋がせわしない」
「ロード・オブ・ザ・リング」「キングダム・オブ・ヘブン」など、城攻めの映画はおもしろい。まして古代中国。諸子百家のうち「兼愛」「非攻」を説く墨子は防衛戦争のみ認めていたので、土木、冶金、工学に通じおり、映画の期待は十分。しかし、筋書きが二転三転してせわしないのと、その後、秦による統一によって墨家もすたれていく歴史の必然が描かれていない。ところで、中国の戦史研究家によるいくつかの本では、大軍が弓矢を雨あられと射るのは、国に資本の蓄積が出来る比較的最近の話で、あくまで映画向け。弓矢は貴重品で、このころは突き刺しと撲殺中心だそうです。
・「とにかく面白いし、アジア合作の良さが出せた秀作!」
原作もコミックも読まず、さらの状態で観て、とても面白かったし、そのストーリーに感動もした。シンプルだが、グっとくる作品だ。アジア合作で日本も出資しながら、原作と撮影監督と音楽のクリエイティブ参加に留め、日本のタレントなどを無理して出演させなかったところが正解!欧米の映画に無い独特のアジアンカラーが出ていて好感が持てると同時にアジア人として感動できる。
・「アジア4カ国の合作によるスペクタクル巨編」
原作は森秀樹の同名コミックです。コミックだからこそ描ける部分を見事にドラマ化してくれた制作陣に感謝します。アジア4カ国の合同制作でこれだけのスペクタクル巨編を完成させるというのは並々ならぬ息ごみを感じます。春秋戦国時代に実在した攻撃せずに守り抜く「専守防衛」(日本の国策と似てはいますがミサイルや戦車は持っていません)の信念を掲げる戦闘集団「墨家(ぼっか)」。戦乱の中国を舞台に墨家の天才戦術家・革離(かくり)が,巧妙な戦術で10万の敵にたった一人で挑む姿を描きます。主人公の革離にはアンディ・ラウが,そして10万の敵の総大将を名優アン・ソンギが演じます。手に汗握る真の男たちの闘いのドラマがここにあります。
・「中国映画の限界」
壮大さも奥深さも無く、中途半端なつぎはぎ映画になってます。戦闘シーンも、城防衛シーンも、築城シーンも、滝壺シーンも、洪水シーンもなんか緊張感がない。早送りしたい衝動に何度も襲われます。
農民や君主の演技がいかにも「中国の劇団」ぽい臭い演技で、悲壮感も切迫感も台無し。無理に恋愛を絡めてるので、テーマも絞りきれていないし、ストーリー進行にも無理が生じ、感情移入できない。農民たちの団結もなく、ただただ優れたリーダーについていくだけの愚民として描かれている。
アンディ・ラウくらいしか評価できない。
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